住宅ローン借り入れにおいて頭金にするか投資するか

※本記事の作成には慎重を期しておりますが、演算結果を保証するものではありません。特に、結果は本記事のパラメータにより大きく変わります。
住宅ローンを組むときに、手持ち資金を頭金するのが良いのか、頭金にせずに投資して資産運用するのが良いのかは、悩ましい問題であり、難しい問題です。本記事では、それを数式で表して比較してみます。
結論
何が良いかはケース・バイ・ケースです。
簡単なパラメータ入力をもとに計算するリンクを作ったので、何が良さそうかは自身のケースで試してみてください。
導出
さて、私達が知りたいのは「頭金に充てれば当然返済期間や毎月の返済額は減るが、投資した場合では投資の複利効果がそれを上回るのか、それとも住宅ローン側が上回るのか」とかそういった単純なことのはずです。
しかし、それを数式で表そうとすると具体的にどう比較すれば良いか困ります。基準を決めて比較しないと不公平感が出てくるのです。
例えば、手持ち資金を頭金に充当すると借入額が減るので、一方と比較して返済期間が短くなるか、または毎月の返済額が減ります。返済期間が短くなる場合においては、頭金に充当した側が完済した後も、頭金なし側は返済は続いており投資した資産は増え続けますが、完済した側もその間遊んでいる訳ではないのでその期間をどう考えるのか、また、毎月の返済額が減る場合においては、双方の毎月の返済額の差をどう扱うのか、といったものです。
この問題については、いくつもの考え方があると思います。本記事では、比較相手において「比較時点は同じ期間後(同じ年齢)とし、その期間においては同じ生活費(生活レベル)とする。」です。
例えば、住宅ローンの返済額について、一方は毎月10万円を返済し、一方は毎月8万円を返済するのであれば、後者は差額の2万円は生活費には充てず、貯金として扱うなり投資するなりする、ですし、頭金の違いにより、一方は40代で完済し、もう一方は60代で完済する、のであれば前者は差の20年間は貯金したり投資したりする、ということです。
また、本記事では、返済方法は元利均等返済を扱います(元金均等返済でもそれほど変わらないと思います)。そして、実用性を考え、毎月の返済額を固定して比較するか、もしくは返済期間を固定して比較します。
graviness.hatenablog.com graviness.hatenablog.com
前置きが長くなりました。上記を踏まえて、本記事では次の3つのケース×2を考えます。
上記、A-* は毎月の返済額が同一のもとで比較し、B-* は返済年数が同一のもとで比較します。*-1 は、いわゆる現金派であり、全額頭金に充当し完済中や完済後は貯金します。*-2 は、フルローンであり資産運用を重視します。*-3 は、全額頭金に充当し完済中や完済後は資産運用するハイブリッドです。
A) 毎月の返済額が分かっている場合
A-* のケース共通で、既知のパラメータとして、以下を定義します。
※は「生涯資産から本件を除いた資産」としていますが、説明のために用意している全ケース共通の変数です。各ケースを比較するときに相殺され最終的には消えます。
A-1) 手持ち資金を全額即時投資し、住宅ローン完済まで資産運用する場合(全額投資)
本ケースにおける全資産を表す式は以下です。
このとき、以下が成り立ちます。返済月数の関係式は、元利均等返済の計算式の導出を参照ください。
ゆえに
A-2) 手持ち資金を全額頭金に充当し、残期間においては毎月貯金する場合(全額頭金後貯金)
本ケースにおける全資産を表す式は以下です。
このとき、以下が成り立ちます。返済月数の関係式は、元利均等返済の計算式の導出を参照ください。
ゆえに
A-3) 手持ち資金を全額頭金に充当し、残期間においては毎月投資し資産運用する場合(全額頭金後投資)
本ケースにおける全資産を表す式は以下です。
このとき、以下が成り立ちます。返済月数の関係式は、元利均等返済の計算式の導出を参照ください。
ゆえに
計算例
各パラメータを次の通りとします。お金の単位は万円です。各パラメータは、「住宅ローンの月々返済額は平均いくら?気になる7つの平均値」や「住宅ローンの金利相場・計算方法を解説!金利タイプ別に比較」を参考に平均値を採用しました。(2021年4月現在)
このとき
よって
これらの見方は、以降の定数部分は、住宅ローンに関連して生涯資産をどれだけ減らさないか、を意味します。よって、定数部分は大きければ大きいほどよく、数式上一番得なのは、
(全額投資)となります。比較する場合も定数部分を比較すればよく、数式上は、
(全額頭金後貯金)よりも
(全額投資)のほうが481万円得であるし、
(全額頭金後投資)よりも
(全額投資)のほうが167万円得といえます。
→ 各ケースで毎月の返済額を固定して比較する簡易シミュレーションはこちら
B) 返済年数が分かっている場合
B-* のケース共通で、既知のパラメータとして、以下を定義します。
※は「生涯資産から本件を除いた資産」としていますが、説明のために用意している全ケース共通の変数です。各ケースを比較するときに相殺され最終的には消えます。
B-1) 手持ち資金を全額即時投資し、住宅ローン完済まで資産運用する場合(全額投資)
本ケースにおける全資産を表す式は以下です。
以下が成り立ちます。毎月の返済額の関係式は、元利均等返済の計算式の導出を参照ください。
ゆえに
B-2) 手持ち資金を全額頭金に充当し、差額を毎月貯金する場合(全額頭金後貯金)
本ケースにおける全資産を表す式は以下です。
このとき、以下が成り立ちます。毎月の返済額の関係式は、元利均等返済の計算式の導出を参照ください。
ゆえに
B-3) 手持ち資金を全額頭金に充当し、差額を毎月投資して運用する場合(全額頭金後投資)
本ケースにおける全資産を表す式は以下です。
このとき、以下が成り立ちます。毎月の返済額の関係式は、元利均等返済の計算式の導出を参照ください。
ゆえに
計算例
各パラメータを次の通りとします。お金の単位は万円です。各パラメータは「住宅ローンの月々返済額は平均いくら?気になる7つの平均値」や「住宅ローンの金利相場・計算方法を解説!金利タイプ別に比較」を参考に平均値を採用しました。(2021年4月現在)
このとき
よって
これらの見方は、以降の定数部分は、住宅ローンに関連して生涯資産をどれだけ減らさないか、を意味します。よって、定数部分は大きければ大きいほどよく、数式上一番得なのは、
(全額頭金後投資)となります。比較する場合も定数部分を比較すればよく、数式上は、
(全額投資)よりも
(全額頭金後投資)のほうが650万円得であるし、
(全額投資)と
(全額頭金後貯金)は同等といえます。
→ 各ケースで返済年数を固定して比較する簡易シミュレーションはこちら
補足
私自身は、結果の式がどうであれ目を瞑って家族のために稼ぐしかありません。